太陽、桜の花

桜の花は無限であり、永遠でありいずれ散る。そしてまた咲く。太陽の遠さ、その輝き。私は追い続ける。

気休め

電車が止まっていた。
最寄りの振り替え駅までは三十分。結構、遠い。
人身事故。何もこんな遅い時間に飛び込まなくてもな。居酒屋帰りのサラリーマンが呟いた。
電車が止まると簡単に喋る。
人身事故。1人の死。
たった1人の命で歯車に狂いが生じるなら安すぎる。
もしもサラリーマンの親類だとしたら。ポケットにしまい込んだ億劫な通知音。
僕の友人かもしれない。
何処かでめんどくさいと感じたコンビニの店員かもしれない。
真相は確かめられない。
帰る前に電車が止まっていないか、確認する習慣を身につけたくない。
今日も誰か死にませんように。これじゃまるで病院か戦場じゃないか。
平和だと信じたかった。
安心したかった。
だから、僕は確認しない。
これぐらいの不利益なら被ろう。この社会の構成員として。
生命は朽ちてほしくない。生き延びて欲しい。
それでも難しいのなら、祈ります。
どうか生まれ変わりは安らかな運命とを。
気休めですが。